TOHOKUUNIVERSITY Startup Incubation Center

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INTERVIEWインタビュー

株式会社GENODAS

GENODAS Inc.
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株式会社GENODAS

GENODAS Inc.
[ お問合せ ]
こちらからお問い合わせください
[ ウェブサイト ]
https://genodas.co.jp/
[ 所在地 ]
宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉468-1東北大学マテリアル・イノベーション・センター 青葉山ガレージ内
INTERVIEW

DNA情報を利用した
トレーサビリティの仕組みで、
農林水産物の開発者や生産者が報われる社会を目指す

 日本の農林水産物が海外へ流出している事実を知っているだろうか。日本で開発された品種が海外へ流出し、無断で栽培され流通している現状があり、その損失額は年間で数千億円単位にも上る。株式会社GENODASは、独自に開発したDNAの識別技術を用いて、この問題の解決を目指している。

高精度×迅速×安価な
「世界で唯一実効性のある」DNA分析技術を開発

 株式会社GENODASは東北大学BIP(ビジネス・インキュベーション・プログラム)に採択されたことがきっかけで、2021年に設立。東北大学大学院農学研究科の松尾歩助教(設立当時)およびDNA情報を活用した研究を研究している秋田県立大学の岡野邦宏准教授が設立に関わった。起業のきっかけは、シイタケの品種の識別を依頼されたこと。もともと松尾助教が所属する研究室では、年間100件以上のDNA分析の依頼があるほどのDNA情報の取得技術を持っていたが、農林水産物の識別は専門外だった。この依頼をきっかけに農林水産物を識別できるDNA情報の新たなデータ解析技術を開発。新技術を社会実装するため、起業に向けた動きを加速させた。   


  

 「DNAは目に見えないので、それをどうやって目に見える形にして識別するかということが、私たちの技術です」と松尾助教は語る。ヒトゲノムの解析も珍しくなくなってきた今日ならば、農作物の解析も難しくないのではないか。そう思ってしまうが、岡野准教授はそうではないと話す。   

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「ヒトのDNAの塩基配列は約30億。ヒトと比べて農作物は数が少ないイメージを持つかもしれませんが、例えばニラは320億なので、ヒトの10倍以上なんです。だからヒトと同じ方法で識別しようと思っても、全くできません」。このため、DNAの分析を請け負っている企業でも、農作物にはなかなか手を出せない現状があるという。「ヒトとチンパンジーの遺伝子の違いは約1%ですが、コシヒカリとあきたこまちを比べてみると、その違いは0.00009%しかありません。品種の識別は膨大なDNAの情報の中からわずかな違いを見つけることになるので、すごく難しいです」。


 松尾助教の研究室ではこの問題を解決し、農作物のDNA情報のわずかな違いを検出することができるデータ解析技術を新たに開発し特許を取得した。iD-NA法と名付けられたこの技術の特長は「シンプルなアルゴリズムで高精度にDNAの違いを検出」できること。DNAをシーケンシングしたときに発生するエラーを限りなく排除でき、しかもその精度は従来法の100倍以上高い。加えて、従来法より10倍以上速く、かつ価格も100分の1ほどに抑えて解析することが可能だ。特長はまだある。この技術を使えば、DNAがごくわずかな量であったり、質の低いものであったり、さらには加工品であったりしても解析できるため、まさにいいことずくめの技術であると言えるだろう。高精度、迅速、安価の三拍子そろったDNA情報の取得・解析技術について、岡野准教授は「世界で唯一の実効性のある技術」と胸を張る。

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DNA情報とトレーサビリティは好相性。
From Seed to Eat―全員参加型のポジティブサイクルな仕組みづくり

 同社ではこの技術を用いて、トレーサビリティと知財ライセンスを融合させた事業の展開を思い描いている。その根底には、日本の農林水産物が海外に流出し、種苗の開発者や生産者が不利益を被っている現状を変えたいという強い思いがある。「農林水産物の流出や偽装は留まるところを知りません。盗まれてしまうと、種苗の開発者にはお金が一銭も入ってこない。新しいブランドを作って売ろうとしても、一発で値段が割れてしまうこともあります。そういうことを防いで、種苗の開発者や生産者の努力が報われる社会を実現したい」(岡野准教授)


 現在日本には、農林水産物の品種の価値を保護したり、不正に増殖したりすることを防止する種苗法という法律がある。種苗法では、育成者に「育成者権」が与えられ、登録された品種を育成者以外の人が利用する際には、育成者の許諾を必要とすることが定められている。これによって育成者に許諾料が支払われる仕組みだ。しかし岡野准教授は「許諾を取らずに無断で流通してしまえば、結局は許諾料が支払われない。これをどうにかして抑止しなければならないのですが、法律の抑止力はまだまだ弱い状態です」と指摘。その上で「我々はその抑止力になれる」と力を込める。


 育種家や生産者がその権利を侵害された場合、多くは裁判によって対応するが、個人の育種家が毎回裁判を起こすことは難しい。そのため、抑止力として「初めから権利を侵害する気を失うような仕組みづくり」が重要になるのだ。考えているのは、DNA情報を用いてトレーサビリティを行う仕組み。まず、農林水産物のDNAを同社に登録してもらう。登録すると証明ラベルが貼られ、ラベル付きの産品が取引業者や加工業者に販売される。そして最終的にはロイヤリティが種苗の開発者のもとに戻ってくることになるというモデルだ。生産者としては、DNAが登録されたものであることを示すラベルが貼られた商品を販売することができるので、今までよりも信頼料を含めた高い価格で販売できるようになるというメリットがある。


 これと似たような現行の仕組みにFSC認証(持続可能な森林の活用・保全を目的とした制度)などがあるが、これらと大きく違う点は記録によるトレーサイリティに科学的証拠としてDNA情報を活用したトレーサビリティを仕組みに組み込んでいること。DNA情報の特性として、固有性が高く、改ざんが不可能なことが挙げられる。高い恒常性があるため、加工されてもDNA情報は変化しない。「DNA情報とトレーサビリティは、実はすごく相性が良いのではないかと思っていて、我々の技術はゲノム編集が行われていてもリスク管理ができますし、加工品であってもDNA情報を調べることができる。DNA情報の特性と我々の技術の強みを生かすと、DNAでトレーサビリティができるのではないかと考えています」と岡野准教授は話す。


 この仕組みは、もちろん消費者にとってもメリットがある。DNAで証明された商品を購入することができるので、違法に栽培されたり、産地が偽装されたりした商品を購入してしまう心配がなくなる。安心して農林水産物が買えるようになるのだ。仕組みができることで、消費者が支払う金額は高くなるかもしれないが、安心して商品が買えることに勝るものはないだろう。さらに、現在よりも高い価格で商品が流通することによって、種苗の開発者にもお金が回るようになる。このことについて岡野准教授は「種苗の開発者が日本の種苗をより良いものにしようと思える、ポジティブな仕組みにつながる」と期待を込める。「これを私たちは『全員参加型のポジティブサイクル』と考えていて、日本の農業の将来を守るための仕組みづくりだと思っています。From Seed to Eat(種から食べるまで)ですね」


 同社では現在最初のステップとして、起業のきっかけにもなったシイタケにDNAで分析したことを示すラベルを貼り、社会実装することを目指している。そのために、構想中のプランを検証している段階だという。「この1、2年で社会実装に取り組みたい」と岡野准教授は「野望」を語る。松尾助教も「近いうちに、DNA分析マークのついたシイタケをスーパーで見かけてもらったときにはとてもうれしいですよね」と笑顔を見せた。

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