TOHOKUUNIVERSITY Startup Incubation Center

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INTERVIEWインタビュー

コトノバ株式会社

Cotonobar Co., Ltd.
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コトノバ株式会社

Cotonobar Co., Ltd.
[ お問合せ ]
下記ウェブサイトよりお問い合わせください
[ ウェブサイト ]
https://www.cotonobar.com/
[ 所在地 ]
〒980-8572 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉468-1 東北大学マテリアル・イノベーション・センター 青葉山ガレージ内
INTERVIEW

2025.12.23

言語の壁をこえて 
日本と海外の結び目に

 EX=英語化変革を目指し、留学生や海外の学生との交流イベントや、日本の科学技術の英語発信などを手掛けるコトノバ株式会社。航空宇宙工学を専攻する大学院生の土田稜貴(つちだ・いつき)さんが、ことし春に起業しました。

海外で過ごした高校時代の経験から、「日本と海外の結び目になりたい」と活動しています。

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イベント運営は100件超
95か国の学生とつながり

 高校時代をニューヨーク近郊で過ごした土田さん。2・3年生のときにコロナが流行し、それまで感じることのなかった人種に対する偏見を目の当たりにしました。

 「潜在的な意識は変わっていないんだと初めて感じて、日本の立ち位置をなんとかしなくてはという思いが強くなりました」。さらに、アメリカと日本の学校を経験して「より違う考えの人と触れ合うためには国際交流が大切」だと感じたといいます。





 その後、東北大学工学部に入学。すぐに理工系の学生と留学生の交流団体TUSTEM(トゥステム)に入り、代表としても活動しました。イベント運営に携わるなかで、学内だけでなく、広く目的を持った活動ができる環境を探していたとき、スタートアップ事業化センターの教授から、「Hult Prize(ハルト・プライズ)の運営の立ち上げをやってみないか」と話が来ました。Hult Prizeは、国連が支援する社会起業コンテストで、学生がアイディアを英語でプレゼンテーションします。世界各国の大学がそれぞれ委員会を組織していて、土田さんは2024年に東北大学の委員会を立ち上げました。1年目にも関わらず、イベントの内容や成果に対する評価で、アジア太平洋地域のトップ5に選ばれました。

 学内や市内の小さなイベントから、次第に大規模なものも開催するようになり、「もっと社会と関わりたい」と起業した土田さん。95か国の大学生とのつながりを生かし、韓国やインドネシア、シンガポール、フィリピン、イタリアなど、さまざまな国の人と交流会やピッチイベントを開催しています。

 さらに、日本に残る留学生が少ない現状をなんとかしようと、留学生にイベント運営に関わってもらったり、自社で雇用したりして、日本の社会とつながる機会をつくりたいと考えています。 「留学生には日本を、日本人には海外を知ってほしいし経験してほしい。それで、ポジティブに考える学生が一人でも増えてくれたら」。

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学生起業家を育成する国際的ピッチ大会「WSP」(ジャカルタ・ことし4月)
 

日本の科学技術を世界へ発信

 コトノバのもう一つの主な事業は、日本の科学技術を海外に発信することです。土田さんは、日本の技術が大学内にとどまっていることや、論文を出して終わってしまうことが多いことに危機感を抱いています。

 「科学者だけでなく、いろんな人の間で話題になるような技術が、きっと日本にもたくさんある。最近日本人2人がノーベル賞を受賞しましたが、あのような盛り上がりがもっと起きてほしいです」。

  

海外ではSNS発信に力を入れている研究者も多いといいます。ただ、土田さんは、労力と手間がかかる英語の習得は研究者に求められる力ではないと考え、発信面をサポート。様々な専門分野を持つメンバーを集め、自身も大学院で研究していることから、仕組みや原理を理解し細かなニュアンスも反映した、わかりやすく信頼感のある発信ができると考えています。

 「すごい研究をしている同級生もたくさんいて、自分は発信や社会実装に注力した方が強みを生かせると思いました。宇宙エレベーターの開発を目指す学生団体や、どんな方向から風が来ても発電できる装置を開発している海外の学生にインタビューするなど、少しずつ始めているところです(YOUTUBE「karakuriLABS」)。だんだん範囲を広げて、海外からも研究にアプローチしやすい環境をつくりたいです」。

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karakuriLABSのインタビューの様子

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人と人とのつながりも含めたEX促進を

 現在土田さんは、次の万博を見据えたイベント「NEXT万博」を企画し、国内外でオンラインや対面のセッションを始めています。また、来年2月に東京で開催される「エシカルエキスポ2026」で、大阪・関西万博に出展した学生団体を集めたワークショップなどを予定しています。

今後はイベントを通して、「世代を超えてつながりたい」と考えています。 「次の時代を盛り上げるのは、私たちU30世代だと思います。これまで万博に携わってきた様々な世代の人の考えも取り入れて、世界への発信力を高めたい」。



土田さんは、単なる英語化変革ではなく、人とのつながりも含めたEXを目指しています。

「社会は分断傾向にあると思っていて、いろんな立場やバックグラウンドの人とふれあい認めあえる環境をつくることが、ずっと大切にしているモットーです。世界はすごく身近なんだと思ってもらえる活動をしていきたいです」。

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